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カンヌ国際映画祭〈最優秀女優賞〉W受賞!

濱口竜介監督最新作『急に具合が悪くなる』
その思想的源泉となった一冊
『プシコ ナウティカ――イタリア精神医療の人類学』



第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて、ヴィルジニー・エフィラ氏と岡本多緒氏が〈最優秀女優賞〉をダブル受賞した『急に具合が悪くなる』。

世界中から注目を集めるこの話題作の背景には、一冊の本がありました。
それが、松嶋健著『プシコ ナウティカ――イタリア精神医療の人類学』です。

本書は、岡本多緒さん演じる「真理」が手がける劇中劇の参照元であるだけでなく、映画における物語全体を導く着想源として、極めて重要な役割を果たしています。

【濱口竜介監督「映画の物語を紡ぐ際の大きな指針となった」】

松嶋健さんの、イタリア地域精神保健をめぐるフィールドワークから編まれた強靭な思考。私は本書で初めてフランコ・バザーリアというイタリア精神医療の改革者を知って、静かな、深い衝撃を覚えた。
それがそのまま『急に具合が悪くなる』の劇中演劇の題材となっている。
それのみならず介護施設を舞台とする、原作から大いに飛躍した映画の物語を紡ぐ際に、本書が示す「〈人間〉に対するアニミズム」という言葉が、ひとつの大きな指針となった。
私たちの社会は、そもそも人間を魂を持つ存在として扱っているか?

――濱口竜介






さらに濱口監督は、本書との出会いについて次のように語っています。

元々は、自分の興味から読み始めた本でしたが、時代(主に1970年代)も場所(イタリアのトリエステ)も、映画『急に具合が悪くなる』とは離れているものの、『プシコ ナウティカ』に記された「〈人間〉に対するアニミズム」という言葉に感じ入るところがありました。

「アニミズム」という言葉は、本来は魂を持たない存在に魂を感じることを指すわけですが、何よりも人間が人間を「魂を持った存在」として扱うことができていない、それをさせないのがこの社会なのではないか。

そのことをこれほど端的に指摘した言葉はないように思われ、それを問題にする姿勢は『急に具合が悪くなる』とも響き合うように感じました。

――濱口竜介

映画の背景に流れる思想と人間観は、この言葉に凝縮されています。


【主演・岡本多緒さんが「最も感銘を受けた本」】

「監督からの宿題の中で一番好きで、本当に感銘を受けた」
「ここから学べること、伝えられることがいっぱいある」

――主演・岡本多緒氏(日本記者クラブ記者会見より)

日本記者クラブで行われた帰国記者会見にて、主演の岡本多緒さんは、濱口監督から役作りのために渡された参考図書の中で、本書が最も印象深かったと語りました。
岡本多緒氏の発言シーン(45:50〜)の映像はこちらからご覧いただけます

【映画『急に具合が悪くなる』と『プシコ ナウティカ』】

映画のなかで岡本多緒氏演じる真理は、
「近づいてみれば、誰もまともな者はいない(Da vicino nessuno è normale)」
というタイトルの劇中劇を執筆します。
この言葉は、本書が描くイタリア精神保健運動を象徴する有名なモットーです。
「正常」と「異常」を分ける社会のあり方を問い直し、人間を管理や効率ではなく、一人ひとり固有の存在として捉え直そうとする試み。
その問題意識は、本書にも、そして映画にも深く流れています。

【『ドライブ・マイ・カー』にチェーホフがあったように】

『ドライブ・マイ・カー』においてチェーホフ『ワーニャ伯父さん』が重要な意味を持っていたように、『急に具合が悪くなる』を理解するうえで、『プシコ ナウティカ』は決定的なもうひとつの入口となります。

映画を観る前に読めば、劇中劇のセリフ一つひとつが持つ意味の重さに気づき、観た後に読めば、作品の背後に流れる深い思想と人間観がより鮮明に浮かび上がる――そんな読書体験を与えてくれる一冊です。

 たとえば本書には、以下のような印象的な言葉が登場します。

 「不可能なことは可能である」

「健康な者たちははたして本当に生きているのか」

「壁の外の文化をどうやって変えるのか。それは壁の内と外を隔てている壁を具体的にこわし、内と外の境界を攪乱することによってである」

 これらの言葉を知ることで、映画の重要なシーンや登場人物たちのセリフの背景を、より深く、圧倒的な解像度で理解できるはずです。

 

【まずは無料試し読み】

『プシコ ナウティカ』の「はじめに」と序章冒頭を公開しました。
「人間を魂を持った存在として扱うことができていない社会」という問いに、濱口竜介監督が深く共鳴した一冊です。映画の背景にある思想の一端を、ぜひお読みください。

ためしよみはこちら
『プシコ ナウティカ』はじめに&序章冒頭

本の詳細はこちら
『プシコ ナウティカ』書誌ページ

 

 

 

世界が注目する濱口作品の「核心」に触れるための一冊、ぜひこの機会にお手に取りください。

プシコ ナウティカ――イタリア精神医療の人類学
松嶋 健 著
定価 6,380円(税込)/世界思想社 刊
濱口竜介監督が「映画の物語を紡ぐ際に、ひとつの大きな指針となった」と寄せ、主演の岡本多緒氏が「一番感銘を受け、ここから学べること、伝えられることがいっぱいある」と語った本映画の「もう一つの」原典。 
「はじめに&序章冒頭」無料試し読みはこちら
特設ページはこちら

映画の核心に触れるための1冊。

公開前に、ぜひお読みください。

■映画情報

『急に具合が悪くなる』
6月19日(金)TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー
出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代
監督・脚本:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
配給:ビターズ・エンド
製作:Cinefrance Studios、オフィス・シロウズ、ビターズ・エンド、Heimat Film、Tarantula
フランス=日本=ドイツ=ベルギー合作
©2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm
– Tarantula & Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/soudain/

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